「はぁ?」
本当に何言ってるの?意味がわからない。
あいつは私のことを全く意識していないから、休日に普通に遊びに誘ったりしてくる。
近くて、遠い。それが私とあいつの距離。
「まじでお願い!美鈴しかいないんだよ」
両手をあわせて必死に頼んでくる優斗。
…断れる訳ないじゃん……。
「いいよ。一緒に行く」
「さすが美鈴!本当にありがとう」
嬉しそうな優斗、私はこの顔に弱いんだよな…。
「お待たせ、優斗!意外と早いんだね!」
時計を見るとまだ、10分前。私も早く来たつもりだったのに。
「“意外と”は余計だ!」
そんな風にふざけ合いながら、休日を二人で過ごすのが最高に楽しい。
二人で色々なお店に行って、ご飯を食べて…。
ずっとこんな時間がつづいてほしい…。
「美鈴!これなんてどう?」
そう言って、私に見せたのは可愛いシュシュだった。
本当の目的を忘れていたことに気がついた。
「えっ…と。すごくいいと思うよ!」
自分用に、と思って持っていたチョーカーを慌てて置いて答えた。
「お前、誕プレが目的って忘れてただろ!」
「えへ。ごめんごめん!楽しくなっちゃって」
「本当、美鈴らしいな」
二人での楽しい時間も、もうすぐ終わっちゃう…。嫌だな……。
「美鈴!今日は付き合ってくれてありがとな」
ニカッっと笑う、その顔はずるい。
そっと目線を外して答える。
「これぐらい、全然いいよ。」
「そうだ!美鈴これ!!」
そう言って、可愛くラッピングされた袋を渡してきた。
「え?私に…??」
「そう!あけてみて!!」
袋をあけてみると、さっきのお店で買おうと思っていたチョーカーが入っていた。
「え…。何で…?」
「今日のお礼だよ!」
本当にすごく優しいんだから。
そういうとこが大好きなんだよ…?
「この後さ、俺あいつに告白しに行こうと思うんだ。」
…え?嘘…で、しょ……?
「お前のおかげで勇気が出たんだ!本当ありがとな!!」
“お前のおかげ”…か……。
「じゃあまた明日な!今日は本当ありがとう」
そう言って走って行くあいつ。
フラれちゃえばいいんだ…。あいつ何か…
バカ…。
君が私じゃない他の子が好きなことぐらい分かってる。
それでも私は…
君が好き。