それでも私は君が好き



「美鈴ー!相談にのってー!!」

廊下を大声で叫びながら、走ってくる優斗


「今度は何?どうしたの?」

いつもいつも、私にどうしようもない事を相談してくる優斗。

     人の気も知らないで…。


「来週の月曜、あいつの誕生日じゃん?
だから、日曜に買い物に付き合って!!」


「はぁ?」

本当に何言ってるの?意味がわからない。

あいつは私のことを全く意識していないから、休日に普通に遊びに誘ったりしてくる。

近くて、遠い。それが私とあいつの距離。


「まじでお願い!美鈴しかいないんだよ」


両手をあわせて必死に頼んでくる優斗。

      …断れる訳ないじゃん……。


「いいよ。一緒に行く」


「さすが美鈴!本当にありがとう」


嬉しそうな優斗、私はこの顔に弱いんだよな…。





「お待たせ、優斗!意外と早いんだね!」

時計を見るとまだ、10分前。私も早く来たつもりだったのに。


「“意外と”は余計だ!」


そんな風にふざけ合いながら、休日を二人で過ごすのが最高に楽しい。


二人で色々なお店に行って、ご飯を食べて…。

ずっとこんな時間がつづいてほしい…。



「美鈴!これなんてどう?」

そう言って、私に見せたのは可愛いシュシュだった。

本当の目的を忘れていたことに気がついた。


「えっ…と。すごくいいと思うよ!」

自分用に、と思って持っていたチョーカーを慌てて置いて答えた。


「お前、誕プレが目的って忘れてただろ!」


「えへ。ごめんごめん!楽しくなっちゃって」


「本当、美鈴らしいな」


二人での楽しい時間も、もうすぐ終わっちゃう…。嫌だな……。



「美鈴!今日は付き合ってくれてありがとな」


ニカッっと笑う、その顔はずるい。

そっと目線を外して答える。


「これぐらい、全然いいよ。」


「そうだ!美鈴これ!!」

そう言って、可愛くラッピングされた袋を渡してきた。


「え?私に…??」


「そう!あけてみて!!」

袋をあけてみると、さっきのお店で買おうと思っていたチョーカーが入っていた。


「え…。何で…?」


「今日のお礼だよ!」

本当にすごく優しいんだから。
そういうとこが大好きなんだよ…?


「この後さ、俺あいつに告白しに行こうと思うんだ。」



      …え?嘘…で、しょ……?


「お前のおかげで勇気が出たんだ!本当ありがとな!!」


“お前のおかげ”…か……。


「じゃあまた明日な!今日は本当ありがとう」

そう言って走って行くあいつ。



フラれちゃえばいいんだ…。あいつ何か…

                バカ…。



君が私じゃない他の子が好きなことぐらい分かってる。


    
   それでも私は…

               君が好き。

作品を評価しよう!

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:13

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

いつも、君の事ばかり。

総文字数/0

恋愛(ピュア)0ページ

表紙を見る
恋の終わりと、愛の始まり

総文字数/1,071

恋愛(ピュア)9ページ

表紙を見る
好きだ。ばか。another story

総文字数/1,666

恋愛(ピュア)15ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア