「なーんてね。なに話してんだか。」
また一口、おにぎりを頬張る。そんな私の頭を、彼はまた優しく撫でた。
「だから、行事が楽しいとは限らないよ。」
彼の手を振り払おうとしたけれど、いいから、と小さく呟いて、何度も何度も優しく撫でた。
「笑、料理できる?」
急に、ポツリと思い立ったかのように、私にそれを聞いて、プシュッと音をたてて缶コーヒーを開けた。
「できるけど…。」
料理は得意だ。
だって、幼い頃から作っていたしお母さんはまだ小学校の私におにぎりやサンドイッチだけでは栄養が偏るから、と自分で作れるように料理教室に通わせていた。
「じゃあ、今度はお弁当持ってこよう。二人で、おにぎりに顔つけたり、ソーセージを好きな形に切ったり、卵焼きは甘くしたりして、可愛いお弁当作って持ってこよう。」
「え?」
「笑の家行く途中に見つけて、午後からだったから、ここしかこれなかったけど。今度はさ、朝早くから出発して、雑誌に乗ってるような、すっげー所で花見しよう?」
彼は、ね?と首を傾げて
私の反応を伺っていた。