「ほら、食べよう。」

手渡されたのはツナのおにぎりだった。

彼は、鮭と梅のおにぎりを一つずつ手に持って、俺はここ見つけたから特別に二個ね、なんて笑っていた。

「俺さぁ、小学校から受験して入ってて、授業も周りの奴等も勉強ばっかで、行事とかなかったんだよね。だから、羨ましかったんだ、遠足とか。」

絶対楽しいじゃん、行きたかったな、なんて彼は言った。

「全然、楽しくないよ、そんなの。」

「なんで?」

「私には、むいてなかった。」

おにぎりを、パクリと口に入れると私の家の安いお米とは違う甘くて美味しい味がした。

朝食べたばかりなのに、これなら食べれそうだった。