「遅い。」

玄関に行くと不機嫌なオーラを漂わせて、眉間にシワをよせた彼がいた。

「…ごめんなさい。」

これでも急いだ方だけど。というか、急に出かけると言ったのはそっちだし、その前に急に現れたのはそっちだし…色々考えていたら私の眉間にまでしわがよって酷い顔になった自分の姿が鏡に映っていた。

「まぁ、いいけど。可愛くなったね。でも、そのスカートは短いよ。他の男に見られる。」

なんて、彼は私を見ながら言った。他の男に見られる、そんな言葉、今時漫画にも出てきやしない。

「ほら、行くぞ。」

かと思えば、急にドアを開けて飛び出して行ってしまった。

「ちょ!ちょっと待ってよ!」

私は慌てて靴を履いてその後ろ姿を追ったんだ。