男達が去るのを見届けると、凪原がこちらを振り返る。


その瞳は、先ほどとは打って変わって、切なげな光を放って今にも泣き出してしまいそうに揺れていた。



彼は石段に投げ出された私の前にかがみこんで、有無を言わせずぎゅっと抱き寄せた。



凪原の優しい匂いに包まれて、強ばっていた体の緊張や恐怖感がゆるやかに解けていき、次から次へと涙が溢れ出して止まらなかった




私が泣いていることに気づいて、より一層凪原が腕に力をこめ、強く抱きしめる。大丈夫、大丈夫というように優しく頭をぽんぽんっと撫でてくれた。