視線を床からあげるとすぐそこに凪原の顔があった
私が拾った後を手際よく拭いていく
『凪原…君』
「チャイム鳴るだろ」
それっきり私達は黙々と片付けた
彼に見抜かれたかもしれない
私がまだこのターゲットいじりにほんの僅か罪悪感を捨てきれていないことに。
菜々達にそれを馬鹿にされるのはプライドが許さない
だからあてつけのように河口さんを冷たくあしらったことも彼は気づいているかもしれない
だとしても、どうして今手伝いに来たのだろう 彼は他人にはあまり干渉しない人だと思っていたから
私のいい子ちゃんぶりを心で笑っているんだろうか …分からない
彼は私に似ているような気がするけど、彼の考えまではさすがに分からない
だから私はやっぱり彼に興味がある
そして、私は彼が、凪原が…
分からないから恐い
上から覗き込む菜々や美帆、朝陽だけでなくサッカー部連中の私達に向けるにやにやした意味ありげな視線に腹が立つ