相変わらず河口さんは突っ立ったまま


早く片付けてくれないと先生が来る


この様子を見ても馬鹿な教師は菜々の笑顔に騙される。 だからその点で心配はいらない


展開が進まない教室は微妙な空気が流れていた。


美帆と菜々を見るが2人は、動かない河口さんに興味を失ったらしく雑誌を読み始めてしまった

朝陽は今日当たるらしい問題を解いている




みんな、勝手だ

散らかすだけ散らかしておいて後始末を嫌う

そういうところは私は嫌いだ



『どいて、 片付けるから』


河口さんは私の一言で幼児体型をワンテンポ遅れて動かし、ゴミの山からのろのろと身体をどかした

まだターゲットとしての実感が湧かないのだろう



『さっさと着替えれば いつまでもそれでいるつもり?』


河口さんが目を見開く

そしてその目に私に対する期待がこもる前に
『言っとくけど ここ私の席だから あなたが動かなくていい迷惑 。 菜々が決めたことに私は異論はないから 。どいて』


菜々達が満足そうに私を見る

彼女の機嫌をとったわけじゃない。

下の奴に期待されて自分が偽善者になるのが吐き気がするほど嫌なだけだ


河口さんが私の一言に絶望したのか教室を走って出ていくのを背中で感じながら、カラフルなパッケージを広い集める 床もベトベトだ



河口さんも同じようにベトベトを今ごろ必死で落としているんだろう






…きっと泣きながら