区役所からまた会社に戻る。

これだから専用車だなんていらねぇんだよ。思うように動けない。


それから社長室で会社のなんだかよくわからない映像を見せられ、帰る頃には十時を過ぎていた。


「麻友ちゃん、明日は華乃の引っ越しがあるから休むよ」


今日こそ女の家に行こうと思ってたのにだるくて無理だわ。なんだか頭も痛ぇし。


「無事入籍したものね。お父様、とても喜んで家具や家電一式、あなた達に用意してくれたわよ。マンションに手配済みだから引っ越しの必要ないわ。洋服や化粧品くらいかしら」


用意周到だな、おい。休ませる気、全くないのかよ。


「でも二人で揃えたい物もあるし、明日くらい休ませてよ。華乃に約束しちゃったんだよ」

「そう……。わかったわ。明日だけね」

「ん。じゃ、帰る」


車に乗るとすぐ、あいつから電話がかかってきた。


「──なんだよ」

『なんだよじゃない!婚姻届出したってどういうこと!?』


は?いきなり何にキレてんだよ。


「どういうこともなにもそのまま」

『あんたが勝手にわたしの分もサインしたの?!』


何言ってやがるんだ、こいつは。