「そう?あんな綺麗な方なら自慢したくならない?」


あんな綺麗って、本当にあいつと会ったことあるのかよ。

会ってそれなら麻友ちゃんの美的感覚を果てしなく疑うぞ。


「とにかく華乃が公の場に出るのは俺が一人前になってから。それじゃ帰るわ」

「あ、今日からあなたに専用車を用意したわよ。外で待機してるはずだから」

「専用車?いらねぇんだけど」


余計自由がなくなっちまうじゃねぇか。タクシーで充分なのに。


「明日早く来なさいね。お疲れ様」



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「それでは明日、九時にお迎えにあがります」

「九時?!せめて十時に…」

「奥様からの指示ですので」
 
「…」


なんだか麻友ちゃんの手のひらで転がされてる気が…。

まあ半年だ、半年。その間だけはいい息子をやってやるよ。


滅多に動かさない頭を使ったせいか、女の家に行く気にはなれず素直に実家に帰った。自分の部屋のベッドに倒れ込み体を休ませる。


明日はマンションに行くか。あいつには明日連絡して…。婚姻届、ちゃんとサインしてるんだろうな?今さら結婚しないなんて馬鹿なこと考えたり…しない……だろ……。


またもや俺は考えながら深い眠りに落ちていった。