挨拶を全て済ませ麻友ちゃんから帰宅の指示が出た。


「明日は早くから出社なさいね。残りの資料の他にも膨大な数があるんだから」


…もう来る気なかったんだけど。まぁ見張りは必要か。面倒だけど仕方ない。


「明日婚姻届出してから来るよ」

「何時になるの?」

「え~っと、…四時くらい」

「冗談はやめなさい」

「いや、まじで」

「どうしてそんなに遅いの!」

「婚姻届、華乃の家に貰いに行くのに三時過ぎじゃないと誰もいねぇんだよ」

「それなら先に会社に来てからにしなさい」

「…麻友ちゃん、始めから飛ばすと俺、逃げたくなる」

「甘えたこと言わないの!ほら、マンションのカードキーよ。一番いい部屋にしてあげたから、仕事頑張りなさい」

「さすが麻友ちゃん。気が利くな」

「後日社内報であなたの正式な入社と入籍の記事を載せるから。できれば華乃さんと一緒の写真を載せたいんだけど」

「勘弁してよ。華乃は誰にも見せびらかしたくない」


ツーショットとか完璧無理だろ。てか俺だって載りたくねぇわ。