「莉乃さん、よろしくお願いします」

「龍成さん、華乃がいなくて申し訳ないです。せっかく挨拶にいらっしゃったのに」

「お母様、お気になさらずに。それを承知で伺ったんですから。早く華乃さんと入籍したかったので」

「そんなに急ぐなんて、華乃を気に入っていただけたんですね」

「もちろんです。華乃さんに出逢って初めて結婚したい女性だと思いました」


それはもう色んな意味で。


「まあ、嬉しいわ」

「早速ですが、こちらご記入願います」


封筒から俺と麻友ちゃんのサイン済みの婚姻届を取り出す。

余計な団欒はいらない。早いとこ終わらせたい。


「保証人のところね。主人にお願いしますね。あとは華乃が帰ってきたら渡します」

「お願いします。明日また伺うので、その足で区役所に持って行きます」

「あら、明日何時くらいかしら。明日は皆予定があって、夜まで誰も家にいないのよね」


夜?区役所間に合わねぇのかよ。まぁ時間外窓口でも…


「あ、あたし学校終わったら家にいるよ!三時には大丈夫だから、あたしが龍成さんに渡すよ!」


お、いいぞ妹。使えるやつだ。