「…そう?わたしもお父様がいない分会社にいないといけないから、龍成がちゃんとできるならそれに越したことはないけど」

「麻友ちゃんは会社でしっかり仕事してな。俺は俺でやるから」

「…わかった。電話だけは入れるからね」


電話もいらないっつーのに。


「じゃあ電話で俺が行くこと伝えといて。無駄に話すことないから。麻友ちゃんの分も、俺が挨拶しとくから」

「はいはい。明日にでも電話するわ。今日は寝るわね。とりあえずおめでとう」

「おやすみ」


麻友ちゃんが部屋に行き、リビングに俺一人になる。


親父が帰ってきたら面倒だな。リカの家にでも行…っと、あいつに電話しないと。


麻友ちゃんが寝たことを確認し、自分の部屋に入る。久しぶりのせいか他人の部屋のように思えた。

ソファーに横になり携帯を手に取る。先ほど登録したばかりの番号を表示し、発信させた。


「……あ、俺」

『わかってる』

「家族に話したか?」

『話したよ』

「上手く言えたのか?」

『多分ね』