俺だって実際同じようなもんだ。

月日はちゃんと流れているのに、俺自身はなんの進歩もなくただ生きている。

それだけだ。


「それでどうなの?あなたは華乃ちゃんに気持ちはないの?」


──気持ちなんて風化するもんだと思ってた。こうも変わらないものなのかと自分を疑うほど、俺の中に華乃の存在が色鮮やかに残っている。

持て余すくらいにあるよ。華乃への気持ちは。


「…俺は、あいつの幸せを願ってる」

「─んもうっ!どうしてそんなに馬鹿なの!華乃ちゃんを幸せに出来るのはあなたしかいないってわからない?!」


俺しか、いない?


「俺といたところであいつが幸せになれるとは思えないんだけど」

「とにかく一度会って話してみなさいよ!お互い本音で変な意地なんて張らずに!」

「…今更だろ」

「どうして?どうしてそこまで素直になれないの?」

「あんたは華乃の姉ちゃんだからあいつの立場で考えられるだろうけど、俺の立場からすれば例え華乃に気持ちがあったって言えるはずないだろ」