「神田様、お連れの方がいらっしゃいましたよ」

「はーい」


ドアが開き、「それではごゆっくりどうぞ」と店員が出て行く。


「失礼します」


ようやく華乃が入ってくる。

失礼しますって会社かよ。


「そんな固くならなくていいから。座って」

「は…はあ。」


固い表情。一体どんなやつを想像してたんだか。

てか、こいつのどこが大和撫子?お世辞にもほどがあるだろ、麻友ちゃん。


顔がどうより雰囲気が暗い。そういう人生を送ってきたんだって丸わかり。その割になにかに文句を言いたそうな顔。劣等感に押しつぶされそうだな。

こんなんじゃ男は誰も相手にしないだろ。麻友ちゃん、こいつと俺をなんで結婚させたいんだ?


「初めまして、桜庭…」

「何飲む?」


余計な話はいいから早く終わらせたい。


「……針葉樹林」

「カクテル?意外だな」


酒、飲めるんだな。可愛らしくカクテルか。