「気になるけど察したふりをします。でもすっごく残念です。お似合いで何気に憧れてたんですよ、わたし」

「有希ちゃん…」


そんなことを言ってもらえるなんて思ってもみなかったから、嬉しい反面悲しくもあった。

有希ちゃんの目には素敵に映っていたんだろうね。それがかえって申し訳ない。


初めから皆を欺いていた偽装結婚。

なのにお似合いだったみたいだよ、わたし達。


──ねぇ、龍成。

わたし達、少しでも本物の夫婦の時間があったのかな。

一瞬だけでも愛のある夫婦のようになれていたのかな。


わたしはそうであったと信じたい。