「眩しいんだよ、この天気」

「サングラスは?」

「文句言ったのお前だろ」


…それで帽子に変えたの?やばいよ、めちゃくちゃ可愛い。


「…それもじゅーぶんチャラいですよ」

「あ?お前はほんとに…」

「ほんとに何?」

「…車出せよ」

「あ、うん」


発進させ区役所に向かう。


──何を言う気だったんだろう。

てか、わたしちゃんといつも通りできてるかな?思ったよりは自分的に普通にできてるつもりなんだけど。不自然じゃないよね?


「家にちゃんと入れたのか?」

「大丈夫だったよ。やっぱり來乃が起きてたから」

「ガキは元気だよな。遅寝早起き、きつくねぇんだよな」

「なにそのおっさん発言」

「俺のどこがおっさんだ」

「気づいてないとこがやばいね」

「はあ?」


今から離婚届を出しに行くというのに、そんな空気を微塵も感じさせない。

本当に普段と変わらなくて、離婚届を出しに行くことが嘘みたい。

わたし達らしくていいのかもね。暗く終わらせたくはないもの。