「あ、この話、あたししか知らないと思うから。お父さんもお母さんも毎日いつも通りだし安心して」

「うん、ありがとう。それは安心だな」

「それで離婚の話は進んでる?」

「──え?」

「離婚するんだよね?龍成さん、華乃ちゃんを解放してくれるんでしょ?」


…そっか、お姉ちゃんはわたしが離婚したがってると思ってるんだ。わたしの為を思って言ってるんだ。


「…うん。午後に離婚届出しに行くよ」

「あっ、そうなんだ!なんだぁ!良かった~!」


お姉ちゃんは安心したような笑顔を見せる。その笑顔に驚いてしまいそうなほど大袈裟に。


「なんでお姉ちゃんがそんな嬉しそうなの」

「だってずっと悔やんでいたんだもの。あの時どうして華乃ちゃんの結婚を止めなかったんだろうって。華乃ちゃん、今まですごく辛かったでしょう?」

「…」


──辛かったよ。始めはどうしてわたしがこんな目にって、いつも思ってた。わたしはどうやっても幸せになっちゃいけないんだって、言い聞かせるしかなかった。