…駄目だって。

そんなことを言ったら、自分の気持ちを伝えるようなもの。

わたしに気持ちがない龍成といたって辛くなるだけ。それどころか今よりもっと醜い自分が出てきて、龍成に嫌われてしまうかもしれない。


自由になりたがってる龍成を結婚という形で無理矢理繋ぎ止めていたって、そんなものに何の意味もない。


──やっぱり今が限界なのかな…。


「何言ってんの。いいからそういうの」

「じゃ、書いて」


すぐさまペンを差し出される。


「え!い、今?!」

「明日区役所に出すから。その手じゃ書きづらいだろうけどなんとか頼む。保証人のところは俺が勝手にやるから。んでこれ書いたら実家に帰れ。荷物は明日まとめて送ってやる」


な…なんでこんなに急いでるの?どうして…。


そんなにわたしといたくない?


そんなにわたしが嫌いなの?


「もう用済みってこと?随分ひどい扱いじゃない」

「ちょっとでも早い方が華乃に男が出来るチャンスになるだろ」


何一つ普段通りの龍成。

胸が引き裂かれる。

息をするのも苦しい。


そんな台詞自体、龍成の口から聞きたくないのに。