「偽装結婚もそれはそれで意味はあったってことで」

「わたしはただ巻き添えくらっただけじゃないの」

「気づくの遅くね?」

「はあ?罪悪感のカケラもないわけ?」

「お詫びにちゅーしてあげようか」

「丁重にお断りさせていただきます」

「なんだよ、こんないい男が言い寄ってんのに。華乃はほんと趣味悪いよな」

「それで言い寄ってるつもりなの」

「俺が女に言い寄るなんて奇跡に近いんだぞ。わかってねぇな」

「わかりたくもないわ、そんな龍成事情」

「なんだと?…あんま可愛げないと明日いじめるからな」

「はい?」

「右手が不自由な奥さん、俺に何されても文句は言えねぇからな」

「は?何する気?」

「明日のお楽しみ。いい加減寝るわ、おやすみ」


にこっと笑い寝転がる龍成。


「ちょ、ちょっと…」


か、可愛い…じゃなくて!あほかわたし!


──急激に不安が押し寄せる。


明日、龍成は何をする気なの?!