「ふざけすぎだろ。普通にありえねぇよな」

「……再婚、するの?」


まさかお姉ちゃんと…。  


…イヤだ。そんなの、絶対イヤ…。


「すごい顔ですよ、奥様」

「…え…」

「暗くても見えてんだからな。顔面蒼白。そんなにショック?」


機嫌が良さそうに微笑み、わたしの顔を覗き込む龍成。


──わ、顔に出てたんだ。なにやってんの、わたし……。


「そ、そりゃあね。お姉ちゃんには幸せになってほしいから」

「俺は?」

「え?」

「俺のことは気にしないのかよ」

「特になにも」

「おい」


…気にしないはずないでしょ。


お姉ちゃんのことより先に、龍成が再婚するってことがショックだった。

お姉ちゃんがそんな結婚了承するわけないって、ちょっと考えればわかるのに。


「だ、だけどどうして龍成の親はそんなにお姉ちゃんを気に入ってるの?龍成にだったら、もっとお金持ちのちゃんとしたお嬢様とかと結婚させようと思わないの?」

「金持ち以前に完璧な女が良かったんだろ。俺を離婚させないようにする為に」