「そう言っただろ」

「そんなこと許されないわ!あなたはお父様が言った通り、莉乃さんと結婚して神田グループの代表になるのよ!」


んなでかい声で言うなよ。華乃に聞こえちまう。


「どっちも勘弁。会社でも言っただろ。俺は代表になって親父みたいなことをするのが嫌なんだよ。あんな汚い考えになっていくなら、社長にだなんてなりたくねぇ」 

「仕方のないことでしょう?何千、何万人の命を背負っているのだから!お父様だってしたくてしてるんじゃないのよ!」

「じゃあ結婚は?あれはどう考えても会社がどうのじゃなく主観の問題だろ」

「会社の為に決まっているじゃない!」

「それなら例えば華乃が会社に利益をもたらすような存在なら、離婚する必要はないってことだよな?」

「利益?華乃さんが?」

「単純に考えろよ。男は女の為、夫は妻、家族の為に働くのがモットーだろ。好きでもない女と結婚したところで俺のやる気につながるか?かえって働く意欲を無くすっての」

「…華乃さんの為なら働けるとでも言いたいの?」