どうしようもねぇな。愚かとしか思えない。

ちくしょう。

こうなったら残り僅かな結婚生活、存分に楽しんでやる。


そして、出来ることならあいつからの

『離婚したくない』
『愛してる』

その言葉が聞けますように。


「──」


…なんだ?こんな時間に。


インターホンの音がし立ち上がる。

画面を見ると、そこには麻友ちゃんが映っていた。


──来たか。

面倒だったが麻友ちゃんはマスターキーを持っている為、シカトしても無駄なことに気付く。


「─はい」

『いるのね。入るわよ』


駄目だと言っても入ってくるだろ。マジで面倒だな。

華乃が上がってくるまでに帰ってもらわないと。


──数分後、玄関の扉が開く。


「龍成!電話にも出ないで一体どういうつもりなの?!」

「でかい声出すなよ。もう夜だぞ」

「なにを悠長なこと言ってるの!本当にもう会社には来ないつもりなの?!」


随分ご立腹だな。当たり前か。そのままほっといてくれりゃいいものを。

せっかくいい流れで辞めれたと思ったのに。