──気持ちいいな。

なんだかんだ言って龍成が優しいのはわかってる。

でもその優しさは結婚したからであって、こんな風に出逢わなければわたしなんて全く相手にされてないだろうな。

……こんな気持ちになるなら、出逢わなければ良かった。この出逢いすらなかったことに…。

なんて考えが頭をよぎる。


それはきっと今に幸せを感じているからだろう。


愛しいと思えば思うほど切ない、初めて知る幸せの形。

この瞬間だけでなくなるとわかっているからこそ、この幸せを強く感じてしまうのだろうか。