もう何でもいいわ。早くシャワー浴びて寝よ。


マンションの入口に向かい歩く俺を、華乃が追いかけてくる。エレベーターの中、当たり前のように手を繋いだ。

部屋に着くと華乃は「ありがとう」と言い、すぐさま俺の手から荷物を取り上げた。


……どうやっても隠したいのか?あそこまであからさまに隠されると、気になるっつーか気に入らない。


華乃は荷物をテーブルの上に置いた。


「龍成、先にシャワー浴びていいよ。疲れてるでしょ」


……。


「いいよ。奥様、お先にどうぞ」

「なんで?」

「それ、気になるから」

「は?気にしなくていいってば」


後ろ手に荷物を隠す華乃。煽ってんのか?


「そんなことしていいの?」

「は?……──!!!」


俺はそのまま華乃に抱きついた。そして驚いている間に荷物を奪う。


「──っあ!」

「なんだこれ」


素早く袋から出すと、何か食べ物らしき物体が入っている入れ物が。 


「…最悪」


落ち込む華乃を尻目に蓋を開ける。


「これ、誰が作ったんだよ」