「経理課長も組んでいるから怪しいとは思っていたが、現実になろうと……。麻友、監査を厳しくしろ。社印の管理も徹底しろ。今すぐだ」

「は、はい!」


麻友ちゃんが慌てて電話をかけ始める。


「お前の女遊びも少しは役に立ったな」

「そうか?」


専務の金で養ってもらってたと思ったら、実際は会社の金が俺にきてたってことだよな。

これはさすがに言えねぇわ。苦笑いでしか返せない。


「しかしもういい加減くだらない遊びは卒業しろ。上に立つ者の立場というものを自覚しろ」

「──だから俺は…」


っと、やべ。継がねぇって言うとこだった。今言ったら確実に火に油だ。


「…なんだ」

「いや、なんでもない」


まだ言う時期でもないよな。


始めの計画だと半年後の離婚の時に一気に全部投げ出すはずだったのに、気持ち的にズレが出てきている気がする。


「夫婦仲良くやっているなら遊ぶ気も起きんだろう。──そうだ、孫はいつになる?」

「ぶっ!」


何を言い出す馬鹿親父!吹いちまったじゃねぇか!