「ボンクラはどうやってもボンクラだと思いますが」

「減らず口を叩くな。週刊誌にばかり載りやがって、もう会社としては限界だ。次に何かお前がスキャンダルを起こしたら、俺は即刻専務の手によって代表から下ろされる」


──そんな切羽詰まってたのか。だからあんなに結婚を急いだんだな。つーか全部知ってんじゃねぇか。


「専務にんなことできるのかよ」

「専務の他にも専務と同じ考えの奴がいるらしい。今のところの調べでは人事部長、そして総務部の経理課長が怪しい。橘常務に調査してもらっている最中だ」


そういえば孝志が専務だけじゃないって言ってたな。経理課長が組んでるなら横領もたやすいだろう。


「その橘常務は大丈夫なのかよ」

「あいつは大丈夫だ。あいつにはもし裏切ったら死んでもらう」

「どんだけだよ」
 

ま、それほど信頼性があるってことか。


「千葉め、俺がいない間に筆頭株主まで丸め込もうとしていた。その上お前にスキャンダル目的で女を送るとはなめられたものだ」


苦虫を噛み潰したような顔の親父。


そりゃ悔しいだろうな。