「馬鹿じゃないの。わたしそういう女じゃないし。あんたの方でしょ、相手したいのは。わたしにどうこう言うより愛人作った方が早いよ」


……愛人か。


「……」

「…どうしたの？急に黙り込んで」

「…前になんで麻友ちゃんを名前で呼ぶかって話したよな？」

「え？…うん、したね。いきなり何？」

「あの時はちゃんと言わなかったけど、本当の理由は麻友ちゃんが俺の実の母親じゃないから名前で呼んでるんだよ」

「──え？」


華乃の表情が固まった。


どうしてだろう。特に理由もなく、華乃に話したくなった。


「親父には結婚しようとしていた女がいたんだ。でも爺さんが無理矢理麻友ちゃんと結婚させた。会社の利益の為に。麻友ちゃんはそれを承知の上で結婚したんだ。親父がその女と関係を続けているのも黙認していた。でもその後、子供が出来ない体だとわかった。悩みに悩んだ麻友ちゃんは、親父と不倫相手に子供を作ってほしいと頼み込んだ。その子供が俺」

「──」