「龍成さんはそうやって女の子を丸め込んで好感度を上げてきたんですね。さすがおモテになる方は違うわ」


…このやろ。変に嘘をつくのも面倒だから事実をそのまま言ったら、もっと面倒になったな。

なんでこんな時に早くバイト終わるんだよ。


「やきもちは可愛くしないと、再婚してもまたバツがつくぞ」

「それならそれで結構。ていうか再婚するかさえわからないし」

「再婚できるかわからない、だろ?」

「…あんたね、」

「仕方ないから優しい俺様が離婚しないであげようか」

「……丁重にお断りさせていただきます」


──こいつ、地味に顔赤くなってんの、本当に気づいてねぇのか?鈍感すぎるだろ。


「どこまで素直じゃないんだか」

「龍成がどこで誰と浮気しようが興味ないけど、それを誇らしく自慢するのはやめて」

「ひどいな。俺は華乃ちゃん一筋だよ」

「うわ、マジで黙れ赤サギ」


……あまりの鈍さにイラつく。


車がマンションの駐車場に停まる。

華乃に言われた通り、俺は口を閉じていた。

車から降りマンションに入る。俺の雰囲気に気づいたのか、華乃も黙り込む。


エレベーターに乗った瞬間、俺は華乃をきつく抱きしめた。