「待たせて悪いな。急いで向かってくれ」

「かしこまりました」


頬杖をつき、大きく息を吐く。


なんだかいきなり疲れたな。これが恋愛って言えるか微妙なとこだが、恋愛ってこんなに面倒だったか?

今まで女を拒むってことがなかったからか。


受け入れて終わる時は即座に切り捨てるってのが流れだったから、受け入れないことに慣れてないんだよな。

にしてもあれはしつこすぎだろ。せっかくの可愛いさが台無しだ。ましてや自分から不倫相手になろうだなんて、女は見かけじゃわかんねぇわ。


俺がいい男すぎるからいけないのか。

どこまで罪な男なんだよ、俺は。


「…黙れチャラ男」

「だから遅れて悪かったって」

「女の子といちゃついていてわたしを待たせるなんて、随分お偉くなったものね。旦那様」

「華乃ちゃん、旦那様がモテるなんて妻として鼻が高いだろ?」

「勘違いも甚だしいわ。完全遊び目的でしょ。こんな軽そうな男、遊び相手にはぴったりだもの」

「それでも浮気してないんだから、俺すごくね?」

「全部嘘でしょ」

「ふざけんなっつーの。遅くなった理由をちゃんと説明したんだろうが」