桜庭華乃、24歳。フリーター。桜庭家の次女。父はとある大手グループ会社の本社流通部長。母は専業主婦。


仲のいい両親を見て幼い頃から二人のようになれたらと思っていたが、現実は彼氏歴ゼロ。彼氏ではない男が一匹。


高学歴を持つも就職が出来ず、バイトを続ける日々。毎日ストレスとコンプレックスに悩まされていた。



その一番の理由は…



「華乃ちゃん、今日も遅くなるの？」

「うん。今、人手が足りないみたい」

「そっか。女の子なんだから、あんまり遅くにならないようにね」

「わかったよお姉ちゃん。行ってきます」

「行ってらっしゃい！」



笑顔で手を振る優しいお姉ちゃん。なんの欠点もない大好きなお姉ちゃん。その姿の美しさ、曇りのない優しさ、凛とした強さ、誰にでも好かれる性格。


お姉ちゃんと正反対のわたしはお姉ちゃんの全てが憧れで、羨ましくて、自慢で、ずっとずっと心の底で嫉妬していた。