二人で見つめ合いながら黙り込む。


「…じゃあ今この場で二人ともつけよう。よし、決まり」

「…わかった」


龍成もケースから指輪を取り出し、二人同時に自分の指に指輪をはめる。


アクセサリーとしてもつけたことがなかった指輪。自分で自分の左手の薬指につけるのはちょっと寂しい気もするけど、二度と出来ない体験だと思うと、ほんの少しその指輪が愛しく思えた。


「よっぽどのことがない限り外さないこと。なくすなんて問題外」

「わかってるわよ」

「じゃ、帰るか」

「うん」


なんだか龍成と結婚指輪をつけていることがすごく新鮮で、変な違和感と照れるような恥ずかしさが込み上げる。

龍成の左手が目に入る度、薬指に光る指輪がわたしとお揃いのものなんだと、自分の指輪を見て実感する。


そして、なぜか微笑んでしまう。


わたし、結婚ごっこに楽しんでいるのかな。きっと相手が龍成じゃなくても、同じことをしたら同じような気持ちになるんだろうな。


……だから別に、龍成が特別なわけじゃない。


…そう、だよね?