ここはキレるところだろ。不自然すぎなんだよ。


「龍成…っ」


麻友ちゃんはしまったと言うような仕草で口を手で抑えた。


「いい大人が両家の挨拶であんなふざけた態度とった上に俺にまでわけわかんねぇこと言いやがって、誤魔化そうとしたって無理がある!一体どうしたってんだよ!」


親父と何があったかは知らねぇけど、俺までキレたら麻友ちゃん、ちょっと可哀想だったか?って、今思っても遅いか。


「──」


見つめる麻友ちゃんの瞳が小さく揺れる。

こっちが悪いことをしてる気分だ。


「何なんだよ、俺には言えないのか?」

「……実はわたし、華乃さんと一度もお会いしたことがなくて…。今日初めてお会いして少し驚いてしまって……」


やっと一つ、本当のことを吐いたな。


「は?どういうことだよ。今まで俺に嘘ついてたってこと?」

「…そうなるわね…。ごめんなさい」

「いや、謝ってほしいわけじゃなくて事実を聞きたいんだけど」


思いっきり落ちてる母親の姿はあまり見たいものじゃねぇしな。