「え、ええ。本当に忙しいみたい」

「俺は?マジで会社行かなくていいのかよ」
 
「ねぇ、龍成は華乃さんのどういったところが好きなの?」

「は?……なんで」

「少し気になって…」  


やっぱり華乃になんかあるんだな。


「どこって言われてもな~。言葉では上手く言えねぇわ」

「そんな、何かあるでしょう?」


何の探りなんだよ。回りくどく聞いてきやがって、何が知りたいんだよ。


「──麻友ちゃんの言ったとおり、大和撫子って言葉が合うから」

「…え?」

「麻友ちゃんが言ったんだろ?華乃は大和撫子って言葉がぴったりだって」

「あ……、そうね」


顔ひきつりすぎだっつーの。


「俺会社行かなくていいなら華乃と指輪買いに行く。結局まだ用意してなかったし」

「いっ、いらないでしょう!!!」

「…」


空気が止まる。あまりに剣幕な麻友ちゃんの顔。初めて見たようなその表情に、俺も驚きを隠せない。


「…あ、あのね、そんなに急がなくても…」

「いい加減にしろよ」

「…え…」

「さっきから何なんだよ!挙動不審も度が過ぎてる!華乃の家に行ってから、麻友ちゃんも親父もおかしすぎだろ!」