あー、なんかもうなにもかもムカつく。そうやってムカついてる自分にもムカつく。


「龍成!!」

「…麻友ちゃん、お帰り」


随分思いつめた顔だな。親父となにがあったんだか。


「あ……。良かった、いたのね」

「そりゃいろって言われましたから」

「…龍成、本当にあなた龍成よね?」

「は?麻友ちゃん、疲れてんの?」

「──ご、ごめんなさいね。なんだか前と別人みたいで…。龍成じゃないみたい…」


思ったより重症だな。親父のやつ、麻友ちゃんに何言ったんだか。


「そんなこと言うなんて、俺が本物の麻友ちゃんか疑いそうだ」

「そ、そうよね。…龍成、あなた今幸せ?」


無理矢理な笑顔。見ているこっちが心苦しくなる。


「当たり前だろ。どうしたんだよ麻友ちゃん。何かあった?」  


あまり勘ぐると怪しまれるから軽くしか聞けねぇな。でもこの麻友ちゃんの様子じゃ、かなりまずい状態なんだろう。


「あ…なんでもないの。仕事でちょっと疲れただけよ」

「あんま無理すんなよ。てか、親父は?」

「お父様は出張に戻られたわ」

「もう?」


随分早いな。何か焦ってんのか?