「はい。わたしの知る限りでは。それにどこから情報が漏れるかわかりませんので、龍成には伝えずボディーガードをつけました。彼らからもそのような報告を受けております」

「……。」


龍一は立ち止まり、腕を組み考え込む。

麻友は恐る恐る顔を上げた。


「社内報の入籍の記事を中止させろ」

「……え?」


龍一の言葉に困惑する麻友。


「入社の記事だけにするんだ。入籍はまだ誰にも知られてはならない」

「…なぜです?」

「お前は本当にあの馬鹿息子のことがわかっていない。あいつがあの女の為に真面目になると思うか?」

「…と言いますと?」

「あそこまで程度の低い女の為に、あれだけ遊んでいたあいつがすぐに結婚なんてするわけがない。なにかあるはずだ。あいつにとって利益になるなにかが。そしてそれが俺達にとって不利益になる可能性も充分有り得る。今すぐ何もかも白紙にはできないが、この入籍だけは隠し通せ」

「そ、そんな…」