「つーか、金持ってて良かったよ。俺、普段カードしか持ち歩かねぇのに、今日に限って麻友ちゃんから現金持ってろって渡されてたんだよな。あいつらにやる為だったのかよ」


軽く笑って話すあいつ。

…そんなに嫌なヤツじゃないのかも。


「…今日はありがとう、龍成」


こんな時くらい素直にならなきゃ。

でも無性に恥ずかしく感じるな。


妙に照れながら龍成を見ると、龍成もわたしの方を向いて優しく微笑んだ。


…なんか龍成に借りが出来たみたいでイヤだなぁ。でも結婚とか言うとおりのことはしてるんだから、おあいこだよね。

そう思っておこう。


「素直になると、それはそれで気持ち悪いな」

「は?!自分が言ったんでしょ!てか、よくあんな台詞が出たね!心にもないことばっかり!」

「なにが?」

「色々崇憲に言ってたじゃない!自分だって女の子に貢がせたりしてるくせに!」

「俺はいい男だから、例え思っていても女の子の悪口は口にしない。女に色々してもらっておいて陰口叩くなんて、俺は男として認めない」

「…でもやってることは一緒でしょ」

「一緒にすんな。俺は基本女を傷つけるようなことはしない」

「悪口を口にしないって、わたしに思いっきり言ったじゃない」

「……あ~、言ったっけ?」