…なんて前向きに考えようとしても心はズタズタで、こんなにも崇憲が好きだったんだと自覚させられてしまった。

あいつと生活することで、早く崇憲を忘れられたらいいな…。


「なんで?」

「…え?」


なんでって…。


「別にお前が結婚しようがしまいが俺には関係ない。結婚してたって会えるだろ」

「…は?なにそれ、わたしに不倫しろって言ってるの?」

「現に今お前は結婚相手じゃなく俺といるじゃねぇか」

「それは……さよならを言いに…」

「お前が俺から離れられるわけねぇだろ」

「出来るから!いくらでも!」

「どうだか」


そう言って崇憲はわたしを押し倒す。


「──やっ!止めて!」

「俺を本気で拒むことなんて出来ねぇだろ?」


わたしの両手を掴みながら薄く笑う崇憲。

不快感でいっぱいになる心。


「嫌!ていうかもう時間!飲みなんでしょ!?行かないと!」

「行かねぇ」

「だめだってば!」