「それは俺がもっとしっかりしてから。俺がこの状態じゃ華乃を呼べないだろ」

「それはそうね。じゃあ華乃さんの為にも頑張らないとね」

「そうだな。てか親父の出張って延びたりしねぇのか?」

「取引先次第だけど、上手くいけば早く帰ってこられるかもしれないわ」

「げ」


長引くことはないのかよ。


「龍成様、社内報の取材の方がいらっしゃっています」

「はーい」


──それから俺は淡々と取材を受けた。いくつもの質問を当たり障りのない言葉で返していった。


そうなると社員も騙すことになるのか。心苦しい気持ちも若干あるけど、俺には関係ない。


取材のあとも資料と映像の繰り返し。さすがに頭が痛くなる。今までの生活と正反対だからな。


……半年は思ったよりも長い。もっと短く設定すれば良かったか。

仕事がこれで帰ってもあいつの相手で、俺、ストレスでハゲるかも。


──はぁ。飲みに行きてぇな。つっても今女と会うのは危険だ。さっき麻友ちゃんに念を押されたし、もしかしたら見張りがついてるかもしれない。女と遊ぶのはもうちょい先にしとこう。


男とは気分じゃねぇし…となると、作戦も含めてあいつと飲みに行くのがベストだな。ストレス解消になるかはわかんねぇけど。


ていうかあいつちゃんと迎えに来るよな?今朝ので機嫌を損ねて来なかったり…。

一応連絡しとくか。


俺、生きてきた中で、今が一番頭使って一番頑張ってる気がする。

長い人生の中のたった半年だ。こんな時期があってもいいだろ。

と自分に言い聞かせる。


頑張れ、耐えろ、龍成。