不覚にも風邪を引いた
蒼に今日は一緒に行けないとメールすると
『知ってますう?夏風邪ってえバカが引くんですよお(笑)』
と返信が返ってきた。
まあそうだろうな、蒼が悲しむはずがないんだ。


あいつは一途に誰かを思い続けている
俺はあいつを思い続けている。

中3の時だ。

いつものようにうちで2人でゲームをしてると蒼の腕に変なアザが見え、それを蒼に指摘すると蒼はバツが悪そうに後ろに隠してなんでもないと言った。
その口は震えていて、何かあったのかと問いただす
「、…別に、」
それしか言わない蒼に煮えきらない俺は蒼の腕を掴みパーカーの長い袖を上に上げるとそこには殴られたようないくつかのアザがあった。
反射的に蒼の掴んでいる腕を引き抱き寄せる、蒼は俺の背に腕を回し震えながら泣いた。

その時感じた、こいつは強いわけじゃなくて、本当は強く見せてるんだと。
「蒼、何があっても俺がお前を守ってやる」
その時までは意識したら終わりだと思っていたがその時から俺は蒼を思い続けている。

「桜田さん、」
ガチャと音を立てて開くドアから出てきたのは制服姿の紛れもなく蒼で熱のせいかいつもより可愛く見えた。
「蒼、学校は?」
そう聞くとエヘヘと笑って「桜田さんが心配で早退してきました。」と返事をした。
「嘘だろ、新作のゲームやりたくて、きたんじゃねーの?」
そんな可愛い言い方するからつい憎まれ口を叩いてしまう
「よくわかりましたねえ、」
そう言うと徐ろに俺のゲーム機を取り出した。
「それ貸すから帰れよ、お前にまで移んだろ」

そう言い起き上がろうとするとピューンと猫のように無理やり止められた。

「嘘です!か、看病しに、来たんです…」
蒼の発言に目を丸める
「病人は寝てなせえよ。」
ぱふっとベットに落とされた俺は熱の中で夢を見た

蒼が俺に口付けるというなんとも自分勝手な夢だった。





「大好きですよ、真さん、」

そう聞こえた気がした。