「…紗彩…」


少し掠れたような甘いその声に瑛心くんを見ざるを得なかった。


「…はい」


自然とうちは目を閉じて、うちの唇に瑛心くんの唇が触れた。


瑛心くんは、満足そうに笑うと
またベッドに戻って本を読み、


「早く解きなよ…その問題。
兄ちゃんがまた入ってきた時にまだ解いてたら、自前の教科書持って、教えだしそうだから…」



「僕以外の人に教えられたりなんかしないでよ…」


どんどん語尾が小さくなって、本で顔を隠しているけど、きっと真っ赤だと思う。



~回想終了~