「だ、だよねっ。なんかごめん、未春ちゃん。」


そのクラスメイトは友達と一緒にノートを持って教室を出て行った。私は緊張が解けて自分の席の椅子に座り込んだ。


こわかった…。まだ手が震えてる。
やばい、なんか視界まで滲んできた。
私は机の上に置いたカバンの上に顔をうずめると、小さく溜め息をついた。


そして足音が近づいてくると思ったその直後、一瞬だけ頭を撫でられた。
顔を上げると、数秒で離れた手は春優君のものだったと分かった。


「…頑張ったじゃん。愛想笑いでだけで拒否出来ない奴かと思ってたけど、ちょっと見直した。」


「え……。」


「……じゃ、俺帰るわ。」


「あっ…まって!私も一緒に帰るっ!」


私はドアの方に歩いていく春優君に声をかける。春優君は振り返って言った。


「はぁ?お前、用事あんじゃねぇの?」


「本当は図書館行こうと思ったけど…一緒に帰りたいっ!」