どうしよう、何から話せばいいのか分からないよぉ〜!


「兄ちゃん、そろそろ帰ろー!」


弟の椿君が春優君のパーカーのフードを引っ張る。


「おい、椿!分かったから服引っ張んじゃねぇ!」


春優君は二人と手を繋いでから、私に向かって言った。


「じゃーな。桃華助けてくれて、本当さんきゅーな。」


そう言うと春優君達三人は階段を降りていく。
私はそんな三人の姿をしばらく見つめていた。


春優君、本当にいた…。夢の中の人じゃなかった。出逢ってなかっただけだったんだ。


現実で春優君と出逢ったって事は、夢で見た4日間が現実に起こるかも。


最後に夢で見た春優君のお母さんの言葉。
『お願い、どうか、春優を救ってあげて…』
そのお願いを叶えなきゃ。


幸いにも夢で同じ場面の異なる二つのバッドエンドを経験してるから、その二つの選択肢は既に消去される。私は第三の選択肢を選べばいいんだ。


夢で見たのは何か意味があるはず。
それに春優君の事故が未来にあるのだとしたら、絶対に助けないとだめだ。


もう未来は失いたくないから。