その日の放課後、私はあの丘へと向かった。
今日ここで出会えなかったらもう諦めよう、そう決めて階段を登る。


桜の木の下まで行くと、夢と同じように草むらに座る。目の前には私の好きな景色が広がる。


そういえば、春優君もこの景色好きだって言ってたなぁ…。


私は春優君の横顔が綺麗で見とれてた。
横を向くと、その夢で隣にいた春優君の姿を思い出した。


さらさらと風で揺れる髪。前髪の隙間から見える長いまつ毛。真っ直ぐ前を見る綺麗な瞳。夕日に染まる頬。


思い出された姿はすぐに消えてしまう。
胸が締めつけられて苦しくなる。


「春優君にはもう…逢えないの…?」


視界が滲んで頬に涙が流れる。


「逢いたいよ…春優君っ…。」