ここは右も左も前も後ろも分からないほど暗い闇がどこまでも広がっている。冷たくて孤独で不安になる。


そこに突然、女の人が現れた。闇の中に浮かぶその人はふっと悲しそうな顔で笑った。その顔はどこか春優君に似ている気がした。


「もしかして…春優君の亡くなったお母さん…?」


「そうよ。あなたに頼みたい事があるの━━━…」



「なんですか?」

「春優を寂しさから救ってあげて欲しいの。それから、自分を責めないで前を向いて生きて欲しい、私は幸せだったと伝えて…。」


「救う……?でもどうすれば……」


「あなたがそばにいてくれたら大丈夫。だから━━━━…」


そこまで言うと女の人は消えてしまった。
闇の中でさっきの女の人の声が響く。

お願い、どうか、春優を救ってあげて━━━…
ほら、目を覚まして━━━…


その瞬間、私は白い光に包まれた。