暗かった視界が一気に広がる景色。
あれ、私、死んだんだよね?ここは天国なの?
でもここ、一度見た事がある様な……。
目の前には澄んだ水の池に、それを囲う様に生えている木々。辺りには白い霧が漂う。
霞む視界の中に、ふと人影が一瞬見えた気がした。私は少し池の周りを歩いた。
すると突然、背後から声が聞こえた。
それはとても澄んだ綺麗な声。
「…あなたはまだ此処に来ちゃだめだよ…。」
振り返ると、綺麗な着物を着た男女の姿があった。色違いの羽織りを身にまとう二人の服装は、白い霧の中で鮮やかで目立つ。
なにより目を引いたのは、二人の額に生えるツノだった。人間…ではないと感覚的に思った。
男の人が言った。