「椿、桃華ー!帰るわよー!」
遠くから女の人が二人を呼んだ。二人はブランコから降りて、女の人の所まで走って行ったけど、少しして女の子がこっちに戻って来た。
「お兄ちゃんも一緒に帰ろー?」
「いや、俺はもう少しこのお姉ちゃんと話していくから、桃華達は先に帰りな?」
「うん、分かった!早く帰ってきてねー!」
桃華ちゃんはまた走って行ってしまった。隣にいる春優君は手を振って見送っていた。
「春優君、一緒に行かなくて良かったの?」
「ああ、いいんだ。俺は邪魔な存在だから。」
「え…?」
「じゃ、俺行くとこあるから。」
「えっ…春優君…!」
私の言葉に振り向きもせず、春優君は歩いて行ってしまった。私はその寂しい背中をただ見つめていた。
見つめていた背中が見えなくなると、突然周りが暗くなり、知らない家の前に立っていた。