「ついさっき、絡まれてた女をまた一人で帰らせるほど、俺は薄情じゃねぇよ。」


「ありがとうっ…!」


夢では先に帰っちゃったけど今度は違う。私は自分で運命を変えたんだ。


「おい、早くしろ。」


「あ、うん!今行く!」


私は弥生君の後を追って隣を歩いた。


弥生君と歩いたのは、ほんの数十分の短い時間だったけど、とても幸せな時間だった。


家の前まで行くと足を止める。


「あ、家、ここなの。」


「そう。じゃ、俺も帰るわ。もう夜に家出んなよ。」


もうお別れなんだと思うと少し寂しく感じる。


「うん…。あ!あの、保健室でそばに居てくれたの、弥生君でしょ?ありがとう。」


「名前、春優だから。同じクラスだし、呼び捨てでいい。」


「え、じゃ、じゃあ…しゅ、しゅう君…。」