「自分でもよく分かんない…。」
「あっそ。まだ帰んねぇの?」
弥生君は短く答えると、冷たい目で私を見る。
それから逃れるように私は下を向いて、弥生君の問に答える。
「私はもうちょっとここに居ようかな…。」
「そ、じゃあ、俺行くわ。」
弥生君は寄りかかっていた柱から身を離すと、スタスタと歩いて行ってしまった。
前と同じ…。弥生君はいつも先に行ってしまう。それはきっと私が思ってる事を言えない臆病者だからなんだと思う。
「もっと素直に気持ちを話せる様になったらいいのに…。」
深いため息をつくと、座っていたブランコから立ち上がる。
そろそろケンカ終わってるかな…。
重い気持ちを抱えながら、私は家に向かって歩き出した。
歩いている最中に淡く景色が混ざり合う。
あ…夢が終わる合図だ。
遠くで目覚まし時計のアラーム音が聞こえてくる。