「え、もう行くの?」
「…お前に関係ねぇだろ。」
弥生君は一言言うと、立ち止まらずに行ってしまった。私は夢と違った別れ方にずきんと胸を痛めた。弥生君の後ろ姿を不安な気持ちで見送った。
あれ?なんか夢と違う…?
いや、私が喋らなかったから変わっちゃったって事なの?そもそも、偶然同じだっただけで正夢なんかじゃないかもしれない。
あたりを見回すと既に薄暗くなっていた。
「そろそろ帰らなきゃ。」
立ち上がると服をパンパンと払い、階段を降りていく。最後まで階段を降りると上を見上げる。
さっき真っ直ぐ見ていた空はもう上を見上げないと見えない。私は視線を戻して家までの道を歩き出した。